成年後見関係判例(平成25年)①

年末なので、今年を振り返って、成年後見制度に関係する判例(平成25年)を紹介しましょう。

 

※後見開始審判に対する抗告申立事件(東京高等裁判所平成25年(ラ)第693号平成25年6月25日決定)

 

この事件は、裁判所が後見開始の審判を行うときにはどの程度調べたらいいの?

という点に関する裁判です。

 

さて、事件の内容を説明しましょう。

 

息子が認知症のお母さんと同居して世話をしていたのですが、介護が行き届いていなかったとのことで、区長が成年後見の申し立てを家庭裁判所に対して行い、後見開始の審判が下りて、成年後見人として弁護士が選任されました。

 

これに対して、息子が不服を申し立てたのがこの事件です。

 

この裁判の争点の一つが

「お母さんは、後見人が必要なほど判断能力が低下していたのですか?」

「家庭裁判所はちゃんとそれを調べましたか?」

というものでした。

 

この点について、高等裁判所の判断は、

「ちゃんと調べてないでしょ?もう一度調べなさい!」とうものでした。

 

家庭裁判所は、申立書の添付書類である診断書に基づいて判断したのですが

高等裁判所は、「それだけじゃだめよ~。診断書以外の証拠も調べたり、本人に会って話しを聞いたりしなければなりませんよ。」と言っています。

 

これは、診断書の内容が

「他人との意思疎通は、できないときもあるとされるにとどまり、記憶力についても問題があるが程度は軽いとされていた」ためです。

さらに「長谷川式認知症スケールの点数が16点であった」ことも理由になっています。

 

長谷川式認知症スケールというのは、認知症かどうかを測る検査です。

http://www.ntv.co.jp/gyoten/0709gyoten/sp/hasegawa/

軽度認知症:19.1点/ 中等度認知症:15.4点

とされています。

 

つまり、この事件のお母さんは、中等度認知症だったんですね。

 

お母さんに後見人を選任するには、お母さんが「事理弁識能力を欠く常況にあること」が必要なのですが、事理弁識能力とは、自分がこういう行為をすれば、こういう結果になりますよ~というのを理解する能力のことです。そういう能力がず~っとない状態であることが必要なんですね。

 

確かに診断書だけだと判断に迷う微妙な事例ですよね…。

 

裁判所は鑑定を行ったり、調査官が本人に会って話を聞いたりするべきだったということなんでしょう。

 

でも、この事件は、ネグレクトによる高齢者虐待として区長から申し立てがなされていたようなので、はたして鑑定やら調査官調査やらをしている余裕があったのか?という疑問もあります。

 

ただ、後見制度というのは、本人の権利を制限する制度なわけですから、その制度を利用するには、慎重な判断が必要とされるのもまた事実です。

 

このような高等裁判所の判断がなされたのですから

今後は、鑑定や調査官調査を行うケースが増えていくのではないでしょうか。

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